虫へんの漢字一覧と成り立ち 蛙・蛸・虹はなぜ「虫へん」なの?

虫へんの漢字一覧と成り立ち 蛙・蛸・虹はなぜ「虫へん」なの?

更新:2026-10-11

「蛙」「蛸」「蛤」「蛇」、そして「虹」。どれも虫ではないのに、左側に虫へんがついています。とんぼやせみなら分かりますが、かえるやたこ、空にかかる虹まで虫へんなのはなぜでしょうか。

このコラムでは、虫へんの漢字がどうして生まれたのかという成り立ちと、生き物ごとの虫へんの漢字を、読み方クイズつきでまとめました。むずかしい漢字図鑑では、ここに出てくる漢字をクイズで遊べます。

「虫」はもともと「へび」の形だった

「虫」という字は、もともと頭の大きなへび(まむし)の形をかたどった象形文字だといわれています。古い字書では、「虫」はへびのなかまを表し、たくさんの小さな生き物をまとめて呼ぶときには「蟲」という字が使われていました。

のちに「蟲」の略した形として「虫」が使われるようになり、「虫」はへびだけでなく、鳥・けもの・魚以外の小さな生き物を広く表す字になりました。昔の中国では、生き物を「羽のあるもの(鳥)」「毛のあるもの(けもの)」「うろこのあるもの(魚)」などに分け、そのどれにも入らないものを「虫」のなかまとして考えたのです。

そのため、へび・とかげ・かえるのようなは虫類や両生類、たこ・かに・貝のような海の生き物にも、虫へんの漢字がたくさんあります。

へび・とかげ・かえるの虫へん

へびの形から生まれた字なので、へびのなかまの漢字はほとんどが虫へんです。

こうもりは鳥でもけものでもない不思議な生き物として、虫のなかまに入れられたと考えられています。字のなりたちだけでなく、こうした生き物そのものの体のつくりや暮らしにも意外な話が多く、動物の豆知識とあわせて読むと、漢字の名前がぐっと覚えやすくなります。

たこ・かに・貝の虫へん

海の生き物にも虫へんの漢字があります。魚のようなうろこがないものは、魚へんではなく虫へんで書かれることが多いのです。

「螺」は巻き貝を表す字で、ぐるぐると巻いた形から「螺旋(らせん)」「螺子(ねじ)」という言葉にも使われています。

本物の虫たちの虫へん

もちろん、昆虫の漢字にも虫へんがたくさんあります。2文字で1つの虫を表すものが多く、どちらの字にも虫へんがつくのが特徴です。

漢字で読んだとんぼを野外で探してみるなら

鬼蜻蜓(おにやんま)の「蜻蜓」は、それだけで「やんま」とも読む字です。虫とり網を手に季節ごとの虫を追いかけているブログ蓼食う虫も好き好きの「ミルンヤンマの採集。秋でも楽しめるヤンマ採集を満喫。」では、オニヤンマにまちがえられることもある小型のヤンマ、ミルンヤンマを10月の湿地で探しています。暗い沢筋からえさをとりに出てくる午前中や夕方をねらい、飛ぶ道すじを読んで通りすぎる一瞬に網を振る、といった探し方のコツが具体的に書かれていて、標本にすると複眼の水色と緑が黒くなってしまうので持ち帰らずに観察を楽しむ、という話も印象に残ります。

虫ではないのに虫へん「虹」のなぞ

いちばんふしぎなのが虹です。生き物ですらないのに、なぜ虫へんなのでしょうか。

昔の中国では、空にかかる虹を、空を渡る大きなへび(竜)だと考えていました。そのため、へびを表す「虫」に、「つらぬく」という意味の「工」を組み合わせて「虹」という字が作られたといわれています。

同じように、蜃気楼(しんきろう)の「蜃」は、大きなはまぐり(または竜のなかま)のこと。海の上に見えるふしぎな景色は、蜃が吐いた息が作る楼閣(高い建物)だと考えられていたことから、この名前がつきました。

夏の季語「蝉時雨(せみしぐれ)」のように、虫へんの漢字は天気や季節のことばにも登場します。

虫へんの漢字一覧表(読み方と意味)

代表的な虫へんの漢字を、生き物のグループごとに表にまとめました。どれも訓読み(日本での呼び名)で読むものです。

グループ漢字読み方ひとこと
へび・とかげ蛇へび「虫」のもとになった生き物
へび・とかげ蝮まむし日本の代表的な毒へび
へび・とかげ蜥蜴とかげ2字とも虫へん
かえる蛙かえる右の「圭」は音を表す
かえる蝦蟇がま大きなひきがえる
海の生き物蛸たこ足が8本
海の生き物蟹かに「解」の下に虫
海の生き物蝦えび海老とも書く
貝蛤はまぐりひなまつりのお吸い物
貝蜆しじみみそ汁でおなじみ
貝螺にし(巻き貝)「螺旋(らせん)」の螺
昆虫蝉せみ夏の代表
昆虫蜻蛉とんぼ「勝ち虫」
昆虫蟷螂かまきり鎌のような前足
昆虫蛍ほたる旧字は「螢」
昆虫蟻あり右側は「義」
昆虫蝶ちょう音読みがそのまま名前に
そのほか蝙蝠こうもり空を飛ぶ哺乳類
そのほか虹にじ空を渡る竜と考えられた

「蝶(ちょう)」のように、音読みがそのまま日本での呼び名になった字もあります。反対に「蟻(あり)」「蛍(ほたる)」は訓読みです。読み方の決まりが字によってちがうのも、虫へんの漢字のおもしろいところです。

「虫」が2つ・3つの字

虫へんのなかまには、「虫」を2つならべた「䖵(こん)」や、3つ重ねた「蟲(ちゅう・むし)」という字もあります。「蟲」は、たくさんの小さな生き物が集まっているようすを表した字で、今の「虫」はこの字を簡単にしたものとして使われるようになりました。古い本や看板では、今でも「蟲」の字を見かけることがあります。

虫へんの漢字を読むコツ

虫へんの漢字の多くは、形声文字(意味を表す部分と、音を表す部分の組み合わせ)です。「蛸」の「肖(しょう)」、「蛙」の「圭(けい)」のように、右側が音を表していることが多いので、知っている漢字が右側にあれば、音読みの見当がつくことがあります。

ただし、日本の生き物の名前は、ほとんどが訓読み(かえる・たこ・とんぼなど)です。字の形から読み方を当てるのはむずかしいので、クイズでくり返し見て覚えるのがいちばんの近道です。

虫へんの漢字クイズに挑戦

ここで紹介した漢字は、むずかしい漢字図鑑のクイズで遊べます。答えはタップで出るので、家族や友だちと読み比べてみてください。

参考:「虫」「虹」などの字の成り立ちは、日本語版Wikipedia「虫部」「虹」などの記事、および漢和辞典の一般的な説明をもとにまとめました。字の成り立ちには複数の説があります。

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